美容院にて

2か月ぶりに美容院に行った。

私は髪を伸ばすことが苦手で伸びるとすぐ切りたくなるため、
2か月に1回は通うようにしている。

さて、お目当てのそこは、最寄りのバス停から少々距離があり徒歩で行くことになるのだが、
その間にある森というにはいささか小さい雑木林の横を歩いていく。

ここを歩くのが好きで、さくさく歩くと5分程しかかからないが、
木々の様子や、かさかさと何かが走る草の音を聞きながら歩くと
自然と足がゆっくりになる。

今は冬が明けたばかりで、気には葉がついておらず寒そうな雰囲気だが、
きっとまた2か月後にここを歩くころには青々とした葉がつき、
林全体が生命力に満ちていることだろう。

こうしてまた日々を積み重ね四季が巡っていくのかと思うと、
生きていくというのもいいものだな、と思う。
今のこの感情を言葉にすることが難しい。

件の美容院へつき、荷物を預けた際にそれは起きた。

私はいつも抗不安薬と水を持ち歩いているのだが、
施術中も飲めるように薬はポケットへ入れ、水筒を手が届くところに置くようにしていたが、
誤って水筒を他の荷物と一緒に預けてしまったのだ。

それに気づいた時の絶望たるや。

そういう日に限って事前に薬を飲んでおらず、
荷物を取りたいのに、お店のかたもなかなか来ない。
焦りで血の気が引くめまいと、過呼吸になりかけたころ、
ようやくお店のかたと話すことができ、水筒を取り戻すことができた。

施術直前に薬は飲めたが、一度発作(めまいや過呼吸寸前)が起きてしまうと
意識がずっとその症状に向いてしまうため、
話の途切れた瞬間や次の作業の待ち時間はそれと戦うことになる。

今回の施術はカラーもお願いしていたため、長い時間それに耐えることになるのかと
気が遠くなる思いがした。

だが、そこに救世主が現れた。

雑誌 『&Premium』

その人の生き方やこだわりの記事に夢中になり、多種にわたる職業(金継ぎを職業にしていらっしゃるかたもいる)に驚きと狭まっていた視野が広くなっていく感覚に時間も忘れて没頭していた。
あれだけ不安だった待ち時間もそれほど苦ではなかった。

また、お辞めになったお店のかたとも十数年ぶりにお会いすることもできた。
なんでも今年復帰していたそうだが、平日しかいらっしゃらないそうで、
たまたま体調不良のかたの代わりに入っていたそうな。

正直名前を聞いても誰のことなのか見当もつかず、戸惑ったが、顔を見た瞬間に分かった。
最後にお会いした時と全然変わっていなかった。
さすが美容院に勤めていらっしゃるかただけあって、
努力をされているのだなと思った。

そんなこともあり、不安しかなかった美容院は軽傷程度で終わったのであった。

この後はもちろん寄り道せず直帰した。

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